2004年、世界で初めて『嗅覚』が脳に与えるシステムを解明したことに対し、米国の
リチャード・アクセル氏とリンダ・バック氏の両氏にノーベル医学生理学賞が授与されました。
彼らの研究で聴覚や視覚が知的行動を司る大脳皮質を経由するのに対し、人間の五感の中で、
『嗅覚』だけが、本能の脳と呼ばれる、『大脳辺縁系』にダイレクトに作用することが
分かってきました。
大脳新皮質は、理性や知性を司る「考える脳」です。
「こんなことでイライラしちゃダメだ」とか「やる気を出さなきゃ」といった理性的な思考は、すべてここで生まれます。理性的な思考からくるストレスもここで発生します。
一方、香りが直接作用する大脳辺縁系や間脳などは「動物脳」と言われます。脳の中心部にあり、本能や無意識の活動に関わる機能を有しています。
この部位は自律神経の中枢部で、リラックスやストレスの反応、ホルモンなど
内分泌系の機能をコントロールする場所でもあります。
無意識のうちに活動する脳内の指令や体の感覚に直接影響するため、香りによって
刺激を受けると、知らず知らずのうちに心身が整っていくのです。